最近ベトナム(ハノイ)であまり聞かなくなった言葉に、こんなフレーズがある。
Ăn cơm Tàu, ở nhà Tây, lấy vợ Nhật
「食事をするなら中華、住まいは西洋風、妻にするなら日本人」
これは、一昔前にベトナム人の男性として成功を表す言葉。
Ăn cơm Tàu
高級な中華料理は品数も豊富で美味しい。毎日中華料理が食べれたら幸せ。
Ở nhà Tây
ベトナムはフランスの植民地だったせいもあり、Villaのような部屋数も多く、西洋建築に住めたら最高。
lấy vợ Nhật
働き者で、夫や家族に尽くす「おしん」のような日本人女性と結婚できたら幸せ。
むかーし、ベトナムで日本人だと分かると、挨拶代わりにこの話をよく聞かされた。でも私はこの話をされるのが嫌でしょうがなかった。
「lấy vợ Nhật」結婚するなら日本人女性。。。
私はいつも心の中で苦笑いをしていた。そして、日本人女性も色々な人がいるから、なんて適当に答えたりしていた。相手は私が日本人だから話のネタに話してるんだろうけど、「日本人女性」って直接自分に問いかけられてるみたいで、本当に嫌だった。当時、自分の周りに日本人女性が少なかったせいもあるかもしれなけど。
この「日本人女性」とはNHKで放映されていたドラマの「おしん」の影響も大きいようで、15年ほど前に同年代のベトナム人から、「おしんは本当に感動した。」と言われたことを思い出す。
でも、このフレーズ、最近はあまり聞かなくなった。私だけかな?他の人はどうなんだろうと、友達のSさん(日本人女性)に聞いたら、「田舎の方に行くとまだ聞くよー。」とのことだった。
ここ数年のベトナム(特に都市部)は本当に目まぐるしく変化していて、街も大きくなった。人(外国人も)も増えているし、物や情報も手に入りやすくなった。7年ぶりにベトナムを訪れた人が、「みんな洋服着るようになってる。」って話してて私も納得。以前はパジャマを外出着として着用してた人も多かった。
そんな中、今の若い世代のベトナム人が「おしん」を見たらどんな風に感じるんだろうなんて思ったりする。ちなみに、「おしん」はベトナムでドラマ放映後、メイドさんや家政婦さんのことを「おしん」と呼ぶようになり、ベトナム語となった日本語の一つです。